第362話 緊急任務

錢たいちょうは今日、特に憂鬱だった。まるで寝ていて銃弾に当たったような気分だった。彼は心の中で嘆いた。自分の部下たちは全く面目を立ててくれない。まさか夏天の逆鱗に触れるとは。

彼は心の中で決意を固めた。帰ったら必ずこの部下たちをきちんと叱りつけてやろう。

こんなことは二度と起こしてはならない。

彼は自分の今の地位と名誉は全て夏天からもらったものだと分かっていた。夏天が取り上げようと思えば、いつでも可能なのだ。今日の夏天の態度は既に明確だった。夏天は彼を助けてくれるが、最も嫌うのは犯罪との繋がりだ。特に警察が犯罪者と繋がることを。

だから彼は一生、良い警察官でいなければならない。

あの太った警官は額に汗を浮かべていた。自分のキャリアが終わったことを悟っていた。

夏天はH社会の大さんを冷たい目で見つめながら言った。「お前の兄貴が凄いって言ってたよな？」

「いいえ、とんでもない！」H社会の大さんは恐怖に満ちた表情で夏天を見つめた。錢たいちょうさえ恐れる人物を、どうして恐れないことがあろうか。

「彼を検査に連れて行け。手柄を立てるチャンスだ。さっき吸っていたのは違法薬物のはずだ。しっかり調べろ。どこで買ったのか突き止めて一網打尽にしろ。ただし、あの太った警官も一緒に逮捕することが条件だ。」夏天はH社会の大さんの兄について言った。

「お前たち、彼を手錠で縛れ。あいつも一緒だ。連れて帰れ。この小者どもは全員解散させろ。」錢たいちょうは指示を出した。

あの太った警官は今回本当に終わったことを悟った。

キャリアが終わるだけでなく、おそらく刑務所行きも避けられない。

さすがに錢たいちょうは仕事をするとなると頼もしい。雷厲風行だ。

夏天は満足げに頷いた。「うん。」

「天さん、私が既に会計を済ませました。ごゆっくりお召し上がりください。」錢たいちょうは笑顔で言った。

「お前な、余計なことを。今日は誰かが奢ってくれる予定だったんだ。」夏天は不満そうに言った。

「申し訳ありません、天さん。すぐにお金を取り戻してきます。」錢たいちょうは言うと本当にお金を取り戻し、二人を連行して去っていった。

あの小者どもは皆ガキだった。木が倒れれば猿も散る。大さんが捕まってしまえば、彼らも一人また一人と逃げ出した。