第366話 2人で十分

夏天の言葉を聞いて、そのトップは非常に困惑した表情を見せた。

「この小僧、お前は何者だ。ここは港海だぞ、お前にここで指図する資格なんてないんだ」と、傍らにいた一人が口を開いた。その服装から港海の巡査員だと分かった。

「不思議だな。なぜアメリカでも取引せず、D国でも取引せず、わざわざ港海まで来て取引するんだ。君たちはそんなことを考えたことがないのか?それとも怠慢になって、何をすべきか分からなくなったのか」夏天は、このような過ちから逃げる人間が一番嫌いだった。

「今すぐお前を逮捕させることもできるんだぞ」その巡査は怒りの目で夏天を見つめた。

「君たちのセキュリティシステムは自国民を逮捕するためにあるのか?」夏天は呆れて首を振った。

「もういい、私たちは彼らの内輪揉めに口を出しに来たわけじゃない。DR10の件について話しましょう」葉婉晴は夏天の言葉を遮った。彼女も以前から港海のことは聞いていた。ここの人々は仕事自体は悪くないのだが、一度問題が起きると、みんな責任逃れをしたがる傾向があった。

夏天は黙っていた。

「この件については検討させていただきます。今回のDR10は全部で八個あり、あなた方が一個を押収し、残り七個です。もしこの七個のDR10が爆発すれば、その威力は想像を絶するものになります」トップの前のスクリーンには港海の映像が映し出された。

「爆発を止めるにはどうすればいい?」夏天は尋ねた。

「これは非常に不安定な物質です。D国はこれについての詳細な情報を明かしていません。そのため、外部への漏洩を防ぎ、いかなる事態も起こさせないようにしなければなりません」トップは説明した。

「D国か!ふん」夏天は冷ややかに鼻を鳴らした。彼は元々D国が好きではなかったが、今回D国の人間がこの物質の詳細を明かそうとしないのは技術流出を恐れてのことだろう。しかし、そうすることで港海を大きな危険に陥れているのだ。

「我々はすでにD国の上層部に連絡を取りました。D国の人間もまもなく到着します」トップは言った。

「彼らは何をしに来るんだ?」夏天は不解そうに尋ねた。

「特殊工作員と技術者を派遣してきて、今回の件に協力するそうです」トップは説明した。

「現在、何か情報はありますか?」夏天はD国の技術者のことなど気にも留めなかった。