取引が成功したのを見た時、上半身の女王様の顎が地面に落ちそうになった。先ほど夏天が一分と言った時は不可能だと思っていたのに、今本当に取引が成功したのだ。
つまり、彼は一本の電話で一千萬香港ドルを動かしたということだ。
これは金持ち二世どころか、まさに金持ち一世じゃないか。
夏天は彼女の心の中で、イケメンから高富帥へ、いや、白馬の王子様へと変わった。決して白馬に乗った唐さまではなく、本物の白馬の王子様だ。
彼女の目はハート形になった。
「もう行っていいよ」夏天は美女泥棒を見て言った。
「連絡先を教えてもらえませんか?もし次回あなたと彼女が香港に来たら、ガイドをさせていただきたいんです」美女泥棒は直接言った。
「ああ、自分で入れてくれ」夏天は携帯を美女泥棒に渡した。
美女泥棒は自分の番号を夏天の携帯に保存し、自分にも電話をかけた。「お名前は?」
「夏天だ」夏天は答えた。
「私は古麗雅です。番号と名前をあなたの携帯に保存しました」美女泥棒は夏天の携帯を返した。
「ありがとう」夏天は木箱を持って外に向かった。
「イケメンさん、どこに行くの?送りましょうか?車があるんです」上半身の女王様は興奮して言った。
夏天が気付かなかったことだが、彼が去った後、その露店は消え、あの奇妙な女性ウェイトレスも姿を変え、おしゃれな女性になっていた。「また一人カモが釣れたわ。この一千萬でしばらく贅沢できるわね」
「あれ?緊急召喚令が震えてる」その奇妙な女性は召喚令を開いた。
『超級練器術が記された天魂石が紛失。全員直ちに帰還せよ』
緊急召喚令の文字を見て、その女性は自分の計画が台無しになったことを知った。「くそっ、あんなものがどうして無くなるのよ。もう楽しく遊べないじゃない」
ショッピングモールの外で、夏天は上半身の女王様の車に乗った。
上半身の女王様は美女泥棒に挑発的な視線を投げかけた。
美女泥棒は仕方なく首を振った。夏天と知り合って間もないが、上半身の女王様が今回必ず失望することになると分かっていた。夏天のガイドを務めれば、自分も安全だと。
そのとき、彼女は大画面を見上げた。先日の大事件についてのニュースだった。
最近、港での大戦について話題になっており、香港警察が千人以上のテロリストを撃退したという。