七幻の視線に沿って、皆は夏天の胸元にある火光を見た。これは火龍短刀が引き起こした傷だった。
夏天は傷口から激しい痛みを感じた。まるで全身が燃えているような痛みだったが、それでも必死に耐えていた。
バン!
夏天の体の痛みが増すにつれ、彼は地面を殴りつけた。この発散で苦痛を和らげようとしたのだ。
「今どうすればいいの?何か考えてよ!」紅さんは焦りながら白羽に尋ねた。
「あの偽霊器の短刀は火屬性だ。私たち三人で力を合わせて、彼の体内の火毒を押し出せないか試してみよう」白羽たち三人は同時に動き、內力を両手に集中させ、夏天の背中に同時に手を当てた。
しかし三人が內力を夏天の体内に押し込もうとした瞬間、彼らは状況がおかしいことに気付いた。
「まずい、すぐに手を引け」白羽が大声で叫んだ。
三人は同時に手を引いた。
「どうしてこんなことに?」七幻は眉をひそめ、夏天を不思議そうに見つめた。
「なぜ私たちが火毒を押し出そうとすると、逆に火毒が彼の体内に侵入するのが早まるの?」陌璃は非常に困惑して尋ねた。
全員が夏天の傷口を見つめていた。
「おかしい、夏天、何をしているんだ?」白羽は突然異常に気付いた。通常なら、夏天自身が火毒を体外に出すはずで、彼らが內力を送り込めば夏天の火毒排出を加速するはずだった。
しかし夏天は火毒を吸収していた。
「お前、火毒を吸収しているのか?命が惜しくないのか?」陌璃も夏天の意図に気付いた。
あっ!あっ!あっ!
夏天は大声で叫びながら、周囲を猛スピードで走り回り、拳で周りのものを打ち続けた。まるで体が燃えているかのような感覚だった。
「痛い!」夏天は痛みしか感じられなかった。
「夏天、早く毒を押し出せ。そうしないと死ぬぞ」白羽が大声で叫んだ。
「いや」夏天は拒否した。火毒を感じた瞬間から、彼は自分がすべきことを知っていた。火炎、彼が常に夢見ていた火炎だ。もしこの火炎を制御できれば、それは彼の体の一部となり、これからの練器や戦闘で火炎を武器として使えるようになる。
痛い、本当に痛かった。しかし彼はチャンスがそう多くないことを知っていた。だから掴まなければならない。実力を上げるには、すべてが順調というわけにはいかない。だからこの痛みに耐えなければならなかった。