夜7時。
方平は長刀を拭き終え、少し躊躇した後、結局長刀を置くことにした。
今回は使う必要がないかもしれない。長刀を持っていくと重荷になるだけだ。
「四人の高級武者が護衛についているのに失敗したら、俺の運も底をついたってことだな」
方平は小声で呟いた。この任務は危険度が高くないはずだ。
簡単に支度を整え、ポケットの丹薬を確認した。回命丹は全部で11個ある。死に至らない限り、命を救うには十分だろう。
……
魔武學校の門前。
張雨強は微笑みながら頷き、車のドアを開けて言った。「方會長、どうぞ」
「張部長、恐縮です」
方平は車に乗り込んだ。これは張雨強の専用車で、運転手が前で運転していた。
方平は乗り込むと、運転手を一瞥し、ため息をついて何も言わなかった。
張雨強は彼が何を考えているか分かっていたが、説明はしなかった。
より説得力を持たせ、より信憑性を高めるため、南江側は何らかの対応を示す必要があった。
張雨強が自ら方平に同行して南江へ向かうことは、南江と魔武の協力関係の前兆となる。
そうでなければ、魔武と南江を繋ぐ重要人物である方平が、魔武の支援について協議するために南江を訪れるのに、南江側が顔も見せないというのは、南江があまりにも冷淡に見え、張定南の切迫した重視と矛盾してしまう。
車内で、方平は乗り込むとすぐに目を閉じて休息を取り始め、明らかに会話をする気分ではなかった。
張雨強も黙って、窓の外を眺めながら、何を考えているのか分からなかった。
……
魔武。
食堂二階。
李じいさんは酒杯を手に取り、ゆっくりと一口ずつ楽しみながら、にこやかに言った。「これは私が十年前に取っておいたものだ。まだ残っていたとは、味も本当に良いな」
向かいの呂鳳柔は大きく飲み干し、淡々と言った。「長生の劍を彼に渡すと思っていたが、なぜ渡さなかったの?」
「まあ、そんなに良いものでもないからな」
李じいさんは軽く笑って言った。「長生の劍は十年かけて育てたものだ。手放すのは惜しい」
「十年間、一度も剣を振るっていないのでは?」
「そうかもしれないな」
「十年磨いた一振りの剣、その一撃はどうなった?」
「分からない」