第358章 突然の来訪

封少煌は常に危険な、触れてはいけない雰囲気を醸し出していた。

今の彼の怒りの様子は更に恐ろしく、誰も近寄る勇気がなかった。

外にいるボディーガードたちさえ、息を潜めていた。彼の機嫌を損ねないように。

しかし、一人のボディーガードが、やむを得ず躊躇いながら近づいた。「少爺、外に林芸というお嬢様がお会いしたいと。」

封少煌は一瞬驚いた。「林芸？」

「はい。」

封少煌は瞬時に怒りを収め、冷冷しく命じた。「すぐにここを片付けろ。彼女を案内しろ。」

「はい！」

ボディーガードの動きは素早く、林芸がリビングに入る頃には、中は完全に片付いていた。

封少煌は二歩前に出て、微笑みながら言った。「林さん、どうしてここに？突然のご訪問とは。お迎えできなくて申し訳ありません。電話一本くだされば、私の方からお伺いしたのに。」

封少煌が彼女にこれほど丁寧で気遣いを見せ、しかも容姿端麗なことに、林芸は内心得意げで誇らしく感じた。

虚栄心も大いに満たされた。

彼女は微笑んで言った。「封少將が謙遜なさりすぎです。私が直接お会いするのは当然のことです。誰もが知る若くして優秀な封少將、私なんかとは比べものになりません。お会いできて光栄です。」

封少煌は、林芸がそれほど謙虚だとは本当には思っていなかった。

彼は拍手をして、笑いながら彼女を褒めた。「まさか、高貴な身分の林さんがこれほど謙虚とは、本当に敬服します、敬服します。」

林芸は彼のお世辞に更に開心し、控えめに微笑んだ。「封少將、お褒めに預かり過ぎです。」

封少煌はすぐに言った。「もし林さんが気にされないなら、私の名前で呼んでください。封少將という呼び方は、よそよそしすぎます。」

「はい、では封にいさんと呼ばせていただきます。」林芸も上手く機会を掴み、更に男性の前でどうすれば好かれるかをよく心得ていた。

案の定、封少煌の笑顔は更に大きくなった。「兄と呼んでくれるなら、もう身内同然ですね。ところで林さん、突然私を訪ねてこられた理由は？よろしければ、座ってゆっくりお話しましょう。どうぞお座りください。」

封少煌の丁寧な態度に、林芸も控えめに座った。

彼女は封少煌を見て、探るように尋ねた。「封にいさん、席家は今回の嫌疑が全て晴れたと聞きましたが、本当ですか？軍需物資を盗んだ犯人も捕まって、罪を認めたとか？」