第483話 金のない男に幸せなし

「はい」夏星河は頷き、すぐに作業を再開した。

彼女は止まりたくなかった。一分一秒を争わなければならない。

今や彼らに残された機会は少ない。全力を尽くしてチャンスを掴まなければならない。

フィリップも時間を惜しんでいた。

彼は席牧白と戦い方について話し合っていた。もちろん、まず第一歩は人質を救出することだ。

人質さえ救出できれば、あとは何とかなる。

IV組織に対しては遠慮する必要はない。最も単純で荒っぽい方法で片付けてしまえばいい。

「明後日が立候補届の締切日だ。それまでに彼らの本拠地を見つけ出し、確実に人質を救出できる態勢を整えなければならない」と席牧白はフィリップに言った。

この点について、フィリップはすでに考えがあった。

彼は低い声で言った。「時間稼ぎの方法を考えます。申請書は必ず提出しますが、まだ迷っているように見せかけます。ご心配なく、私にやり方は分かっています」