「あなたの能力なら、損失を取り戻せると信じています」
席牧白は少し驚いた。彼女がこんなに真剣に慰めてくれるとは思わなかった。
そんな真摯で素直な夏星河が、なぜか可愛く見えて……
思わず口元に笑みがこぼれた。
席牧白は深い眼差しで彼女を見つめ、「僕をそんなに信じているの?」
「うん」夏星河は頷き、相変わらず真剣な眼差しだった。
席牧白の目の中の笑みがますます大きくなり、「でも僕は自信がないんだ。もし取り戻せなくて、以前ほど財産がなくなったらどうしよう?」
「本当にそんなに損失が大きいの?」夏星河は少し困惑した。そうでなければ、彼がこんなに自信をなくすはずがない。
これは彼らしくない。
席牧白は頷いた。「そうだよ、とても大きい。この國の一年分の収入くらいだ」
まさかそんなに!
封少煌の罪証を見つけるためだけに、こんなに大きな損失を出してしまうなんて。
夏星河は一瞬、席牧白をどう慰めればいいのか分からなくなった。
少し考えて、あまり上手くない慰めの言葉を思いついた。「実はお金の多い少ないは重要じゃないと思う。少なくとも私にとっては、あなたの身分がどうであれ、あなたはあなたよ」
だから、お金がなくなっても、彼は席牧白のままだ。
席牧白は彼女の意図を理解し、深い眼差しで意図的に言った。「そうは言っても、僕は今持っているものを全て失いたくないんだ。どうすればいい?」
夏星河は即座に答えた。「私が取り戻すのを手伝います。私はあなたほど凄くないかもしれないけど、力になれます」
「君が手伝ってくれる?」席牧白は驚いた。
「うん」夏星河は静かに頷いた。
席牧白の声は今度は完全に掠れていた。「なぜ僕を手伝おうと思うの?どうしてそう思ったの?」
夏星河は不思議そうに彼を見た。「あなたが失いたくないって言ったでしょう?失いたくないなら、取り戻せばいい」
「でも君が僕のためにお金を稼いで、全部僕にあげるなんて、損だと思わない?」
夏星河はその問題を考えたことすらなかった。
少し考えて首を振った。「損得なんて関係ない。私が手伝うのは自分の意志だから」
だから全部彼にあげても、気にしない。
彼女が気にしているのはお金ではなく、気持ちだった。やりたいことをやればいい、自分の気持ちに従えばいい。