第612章 童家に直接来た

警備員にも良心はあった。ただ怖すぎて、本当のことが言えなかっただけだ。

一度嘘をついてしまうと、なおさら真実を語れなくなってしまう。

今、席牧白にこのように脅されて、もう耐えられず、すべてを覚悟して話し始めた。

「私を殺してください。この件は私の家族とは無関係です!夏さんを害したのは私です。すべて私の過ちです!童さんは私に彼女に会わせるように命じただけで、二人きりで話がしたいと言い、このことは誰にも言うなと。私は彼女が話をするだけだと思っていました。まさか誘拐するとは思いもしませんでした!嘘をつかせたのも童さんです。協力しなければ私に罪をなすりつけると言われました!彼女を罰することができる人は誰もいないからと!これはすべて私の過ちです。何でも私に向かってきてください。私は罰を受けるべきだと分かっています!」

警備員の叫び声に、他の人々は衝撃を受けた。

大統領夫人は驚いて叫んだ。「何ですって?嫣兒が夏星河を誘拐したというの?」

大統領も非常に信じがたい様子だった。

警備員は崩れ落ちるように頷いた。彼は童家と沈家の怒りを買ったことを知っていた。「はい、彼女です...」

席牧白は冷たく笑みを浮かべ、淡々とした目で大統領夫人を見つめた。「夫人、それでは安全に彼女を連れ戻していただくしかありませんね。」

大統領夫人は非常に怒っていた。童嫣がこのようなことをするとは思ってもみなかった。

「今すぐ彼女に会いに行って、人質を解放させます。本当に彼女がやったのなら、決して庇いはしません!」

「私は夏星河が無事に戻ってくれば、それでいい。夫人、一緒に行かせてください。」席牧白はゆっくりと車椅子に座り、手に持っていた銃を投げ捨てた。

警備員の一人が素早く銃を拾い上げ、彼らは依然として警戒して銃を向けたままだった。

しかし、誰も彼を逮捕しようとはしなかった。

大統領が命令を出さなかったからだ...

それどころか、大統領は以前、軽はずみな行動を取らないよう暗に示唆していた。

さらに、彼らは先ほどの席牧白の脅しを聞いて、軽率な行動は取れなくなっていた。

彼が死んだら、本当に國の経済が崩壊するかどうか、誰にも分からない。

しかし、彼にはそれだけの力が確実にあった。