第611章 席牧白は狂った!

「……」

「A市とT市の経済の命脈は私の手の中にある。もし私がここから出られなければ、両市の経済は完全に崩壊するだろう!あなたには、それが何を意味するか分かっているはずだ」

席牧白の言葉を聞いて、その警備員は呆然とした。

大統領と大統領夫人も大きな衝撃を受けた。

席牧白がこのような行動に出るなんて、國の経済を人質に取るなんて!

A市とT市は國内最大の二つの都市であり、最も発展し繁栄している都市でもある。特にT市は、まさに國の根幹だった。

しかも席家はT市の市場をほぼ完全に支配し、A市でも半分を掌握していた。

もし彼が本当に命知らずで、狂ったように全ての経済の命脉を破壊すれば、國全体が大混乱に陥るだろう!

それだけでなく、他國の侵略を招く可能性もあり、戦争さえも引き起こすかもしれない……

とにかく、経済は一つの國にとって極めて重要なのだ。

もし破壊されれば、その結果は想像を絶するものとなる!

なるほど、席牧白が大胆にも大統領府に単身乗り込み、大統領を脅すことができたのは、すでに準備万端だったからだ。

「では聞くが、お前を殺せば、私はここから出られるのか?それに私が殺すのは、元々死んで当然の人間だ!」席牧白は冷たく警備員を睨みつけ、その目に宿る殺意は少しも減じていなかった。

彼は本当に警備員を殺そうとしていた。冗談ではない。

今殺せなくても、いずれ機会を見つけて殺すつもりだった。

警備員も危険な戦闘に参加した経験があったが、彼は間違いなく見て取れた。席牧白は彼に対して殺意を抱いていた。

たとえ彼が真実を話したくなくても、殺されることになるだろう。

しかし彼はまだ歯を食いしばって認めようとしなかった。席牧白が本当にやる勇気はないと賭けたのだ!

「あなたにはできません、ここで人を殺す勇気なんて……」

「そうかな?」席牧白は一瞬で冷たい眼差しに変わり、指が引き金に掛かった。

「バン——」銃声が響いた瞬間、警備員は反射的に地面に転がり落ちた。

他の人々は呆然とした。席牧白は狂っている!

本当に発砲するなんて!

彼は狂っていた。完全に無表情で、まさに地獄から来た修羅のようだった。

九死に一生を得た警備員は全身冷や汗だった。さっきもし彼が少しでも遅く避けていたら、死んでいただろう。

席牧白は本当に……彼を殺すつもりだった……