379.おじいちゃんが後ろ盾になる

彼女は老人を見つめ、彼の言葉を聞いた。「お前が陸家を離れた4年間の、墨擎のことを少し話してくれた。」

　　「墨擎」という言葉を聞いて、喬栩は思わず先ほど病室の外にいた陸墨擎のことを思い出し、無意識に眉をひそめた。

　　老人は彼女が何も言わないのを見て、ため息をつき、真剣な表情で言った。「お前が出て行って1ヶ月後、彼が私を訪ねてきた。最初に彼を見たときは驚いたよ。あの小僧、完全に意気消沈していて、生気がまったくなかった。目は充血していて、助手の話では、彼は狂人のように昼夜を問わずお前を探し回っていたらしい。最後にはどうしようもなくなって、私のところに助けを求めてきたんだ。」

　　「当時のあの小僧の様子を見て、私も同情したよ。でも、3年間お前にあんなことをしたのを思い出すと腹が立って、結局は追い返してしまった。」

　　ここまで話して、老人は彼女を見て言った。「栩栩、爺さんがこれを話すのは、あの小僧を簡単に許せというわけじゃない。でも、彼の全ての道を塞ぐこともないだろう。爺さんには分かる、お前がまだ彼のことを忘れられないってね。そうなら、彼に償う機会を与えてみたらどうだ？」

　　「おじいちゃん。」

　　喬栩は唇を強く噛んで、老人を見つめ、陸墨擎の蒼白い顔を思い出し、胸が少し締め付けられる感じがした。

　　しばらくして、彼女はため息をついて言った。「おじいちゃん、私はただ怖いんです...」

　　あの3年間は自分の意志だったとはいえ、あんなに冷たくされる感覚は本当に耐え難かった。

　　「何が怖いんだ？昔のことがまた起こるのが怖いのか？」

　　老人は少し理解できない様子で言った。「あの小僧がそんなことをする勇気があるとでも？」

　　喬栩は無力な笑みを浮かべた。彼に勇気があるかどうか、誰にも分からない。

　　彼女が怖いのは、彼に勇気があるかどうかではなく、自分がまた深みにはまってしまい、そうなったら本当に抜け出せなくなることだった。

　　しかし今は、少なくとも自分に逃げ道を残すことができる。

　　彼女にはこのようなことを老人に説明する方法がなかった。最後には、ただこう言った。「おじいちゃん、よく考えさせてください。おじいちゃんは病院でゆっくり養生してください。私のことは心配しないで。」