593.陸昕瞳は災いそのもの

先ほど陸昕瞳が外で発した聞くに堪えない罵声を、彼女も聞いていた。そんな言葉が宋域の耳に入ったとき、彼がどう思うのか想像もつかなかった。

宋域は名家の坊ちゃま出身で、良い家庭教育と教養を受けている。陸昕瞳のような下品な言葉遣いを受け入れることは難しいだろう。

時間が経つにつれ、一旦対立が激化すれば……

喬栩は心の中で溜息をついた。

陸昕瞳の暮らしぶりについて、喬栩は気にかけないようにしていた。ただ、宋域のことを少し気の毒に思うだけだった。

しかし、所詮は他人の事。彼女には口を出す資格も権利もなかった。

「おばあさま、私は食事を済ませました。おばあさまが体調を崩されたと聞いて、瞳瞳を連れて様子を見に参りました。」

陸昕瞳のことを持ち出すと、宋域の眉間にさりげなく皺が寄った。

以前、妻が何度もお義姉さんを攻撃したのは、単純に蘇柔に騙されたためで理解できるとしても、今夜の彼女の言葉は、たとえ弁解しようとしても、とても恥ずかしくて口に出せるものではなかった。

彼は薄々感じていた。自分の妻は、最初に出会った頃のような純粋で素晴らしい人ではないのだと。

これまでこのような一面を見せなかったのは、以前の彼女にはそれを表に出す機会がなかっただけなのだ。

陸家のお嬢様として、皆が我慢して譲っていたから、今日のような醜い面を見せることはなかったのだ。

そして陸家が彼女を追い出した理由について、彼は考えた。確かにお義姉さんとの関係も影響しているだろうが、彼女があまりにも度を越した行動をしなければ、おばあさまと義兄がここまで厳しい対応をするはずがない。

おばあさまは宋域の困惑した表情を見て、箸を置いて溜息をつきながら言った:

「域くん、おばあさまがなぜ陸昕瞳を家に入れないのか不思議に思っているでしょう?」

宋域はおばあさまのその質問を聞いて、顔を上げて彼女を見つめ、少し考えてから口を開いた:

「おばあさま、瞳瞳が何か酷いことをして、おばあさまの怒りを買ったのでしょうか?」

おばあさまは宋域に隠し立てせず、先日陸昕瞳が陸家に来て、なぜ兄が蘇柔を牢屋に入れたのかと詰問し、さらに常識外れな発言をしたことを全て話して聞かせた。

宋域は目を見開いて驚いた。