やはり彼女は自分の孫娘だから、陸家から追い出すと言っても本当に追い出すわけがない。
どう考えても、彼女は陸家の正真正銘のお嬢様で、陸墨擎の実の妹なのだから。
「執事、私を中に入れなさい!」
「申し訳ございません、お嬢様。奥様がお通しするなとおっしゃっていますので、私のような使用人が勝手な判断はできかねます!」
「あなたも自分が使用人だと分かっているくせに、使用人のくせに私を止めるなんて、さっさと退きなさい!」
陸昕瞳は激怒した。おばあさまと兄に冷たくされるのはまだしも、使用人にまで邪魔されるなんて。
傍らにいた宋域は、陸昕瞳のその言葉を聞いて、端正な顔をしかめずにはいられなかった。
妻が幼い頃から我儘に育ってきたことは知っていたし、彼女と結婚した以上、わざわざ性格を制限しようとは思わない。
自分の奥さんが我儘を言う資格すらないなら、それは夫である自分が無能だということだ。
しかしそれは、人に対する最低限の敬意すら持たなくていいということではない。
陸家の執事は、奥様と同世代の人物で、使用人とはいえ目上の人だ。瞳瞳がこんな風に大声を出して、言葉で侮辱するなんて。
宋域の声は思わず沈んでしまった。「瞳瞳、言葉遣いに気をつけなさい!」
陸昕瞳は今まさに怒りが頂点に達していたところで、自分の夫がこんな厳しい口調で使用人のために自分を諭すなんて、さらに我慢できなくなった。
「何に気をつけるの?ただうちの飯を食べている使用人じゃない!」
傍らの執事はそれを聞いて、表情が曇り、眉をしかめたが、結局何も言わなかった。
宋域はもう聞いていられなくなり、表情は先ほどよりさらに険しくなった。
「そんな態度なら、もう入る必要はない。おばあさまをさらに怒らせることになるだけだ。私が中に入っておばあさまに会ってすぐ出てくる。」
「あなた……」
陸昕瞳は怒りで目が赤くなった。いつも自分を可愛がり、我儘を許してくれていた夫までもが、自分を諭そうとするなんて。
「宋域、何を言うの!」
宋域も今や表情が良くなく、執事の方を向いて言った。「執事、私が入りましょう。」
「かしこまりました、旦那様。こちらへどうぞ。」
陸家の外には警備員が立っていて、陸昕瞳が強引に入ろうとしても入れず、ただ門前の警備員たちに対して、できる限り汚い言葉で罵ることしかできなかった。