韓森は自分の部屋に戻り、天網で資料を見続けた。
それはずっと昔の鋼鎧シェルターの先輩が投稿した記事だった。彼は一度、異生物に追われ、やむを得ず暗黒沼に逃げ込んだという。
暗黒沼については韓森も知っていた。鋼鎧シェルターの南西約200里のところにあり、沼そのものが危険なうえ、暗黒沼には毒を持った強力な異生物がたくさんいるため、そこに行く人はほとんどいなかった。
秦萱や神の天子のような大勢力でさえ、暗黒沼に踏み入る勇気はなかった。
その先輩の話によると、当時の状況は危機的で、やむを得ず暗黒沼に逃げ込んで一か八かの勝負に出たが、結果的に運よく暗黒沼を横断し、反対側に出ることができたという。
暗黒沼の横断には約半年かかった。主な理由は道が歩きにくく、ちょっとしたミスで泥沼に陥る可能性があったこと、そして様々な凶暴な毒獣や毒蟲が横行していたため、しばしば道を変更せざるを得なかったことだった。さらに、何度も沼地で方向を見失い、彼が脱出できたこと自体が奇跡だったという。
この先輩は投稿の中で、暗黒沼での多くの経験や出会った異生物についても語っている。
そのうちの一つで、この先輩が古い樹林に入ったときのことだ。樹林と言っても、そこには木がほとんどなく、数十メートルおきに1本の木があるだけだった。しかし、そこの木は極めて大きく、幹だけでも数人がかりで抱えられるほどだった。
その樹林の下には、様々な美しい花が咲き乱れていた。当時、その先輩はほとんど沼から出たと思ったが、後になってそこが沼の中の奇妙な領域だと気づいた。そして、それらの巨大な木の上には、多くの巨大な蜂の巣があり、最小のものでもダブルベッドほどの大きさで、一つ一つが巨大な木にぶら下がっていた。そこから飞び出してくる黒い蜂は、一匹一匹が大きなコウモリほどの大きさだった。
そのとき、彼は運よく一匹の単独の黒い蜂を倒し、それが黒針蜂と呼ばれる原始級の生物だと知った。
さらに彼は幸運にも黒針蜂の獸魂を手に入れた。その黒針蜂の獸魂は矢のタイプで、黒針の矢に変化することができ、鋭いだけでなく、強力な毒も持っていた。