栗原愛南は招待状をスタッフに渡した。「入れますか?」と尋ねた。
スタッフはそれを見ただけで、すぐに恭しく「どうぞお入りください。」と言った。
森川辰はこの言葉を聞いて眉をひそめた。「どうして招待状を持っているんだ?」
彼は一歩前に出て、栗原愛南の携帯を見ていた。「まさか、他人の招待状を使ったんじゃないだろうな?ここは全て実名制だぞ!」
そして、招待状の名前を見て、彼は呆然とした。
このような業界の宴会では、招待状には通常、招待された人の会社と役職があるはずだ。
江口亜英の招待状は、主催者が森川グループの面子を立てて彼に送ったものでなく、彼の影響力を見込んで送ったものだった。
ただし、彼が森川グループにいるため、勤務先が追加されただけだった。
しかし、一部の人々は、身分が複雑であったり、名声が十分に大きいため、役職が書かれていない場合もある。
栗原愛南の手にある招待状には、ただシンプルに「栗原愛南」という四文字だけが書かれていた。
森川辰は驚いて尋ねた。「何の身分でこの招待状を手に入れたんだ?」
「お前に関係ないわ。」
栗原愛南は冷静に携帯を閉じ、江口亜英を見て言った。「行こう?」
江口亜英は今日はきっとこの損を被ると思っていて、栗原愛南を連れて入れないことを残念がっていたが、まさか状況が突然逆転するとは思わなかった。
彼は栗原愛南の隣について宴会場に入った。「どこから招待状を手に入れたんだ?」と尋ねた。
栗原愛南が話そうとしたが、江口亜英は自分で話し始めた。「きっと兄さんが君のために手配したんだろう?会社名がないから、誰にも制約されないわけだ!」
彼の目つきが暗くなった。「森川辰は今回やりすぎだ。このことは絶対に簡単には済まさない。会社に戻ったら...」と言った。
栗原愛南は彼が研究開発部の総経理を探しに行くか、取締役会に騒ぎを起こしに行くと言うと思ったが、予想外にも彼が言ったのは「...兄さんを探して、俺のために正義を求める!」だった。
何を言っているんだ!
コネ入社を最も嫌うと言っていたのに!