目を覚ませ

森川おばあ様は二人の会話を聞いて、何かに気づいたようだった。「孫嫁、今日後で見舞いに行ったという人は、井上家の妹さんのことかい?」

栗原愛南は警察署から戻った後、井上斉子のところにもう一度行き、彼女のリハビリトレーニングが終わるのを見届けてから帰ってきた。

彼女は森川おばあ様に簡単に説明をしたが、おばあ様はそれをしっかりと覚えていた。

愛南はおばあ様を見て、最近の症状が悪化していないどころか、むしろ良くなっている兆しがあると感じた。

薬の研究を急がなければならない。できれば、おばあ様に彼女と森川北翔の結婚の真相を思い出してもらいたい。

二人の会話を聞いていた森川北翔の唇が少し上がり、目に嘲笑の色が浮かんだ。

なるほど、井上市川が人違いをしていたのか。

彼は突然口を開いた。「栗原お嬢様、明後日の夜、森川グループと井上家のパーティーがあるんだが、女性の同伴者がいなくて。興味あるか?」