彼女だった!

紀田亮はもう爆発寸前だった!

森川辰は何もしていないのに、こんな簡単に総経理の座を手に入れるなんて?何故だ?!

しかし、彼も分かっていた。両社の連携が重要な局面に差し掛かっており、森川グループにとってこの要求は些細なことに過ぎない!

その場に多くの幹部がいる中で、この程度の人事異動を社長が拒否するはずがない!

本当に悔しい!

この井上市川は何なんだ?!たとえ昔の紀田家が森川家に恨みを持っていたとしても、恨むべきは森川家の本家のはずだろう?なぜあらゆる面で社長に敵対するのか!

森川北翔の表情は平静を保っていた。彼はいつもながら喜怒哀楽を表に出さず、鋭い眼差しで井上市川を見つめ、ゆっくりと口を開いた。「もし私が同意しなければ、井上社長は契約を結ばないということですか?」