第311章

離婚?

  森川北翔の喜ばしい表情が一瞬凍りついた。

  そして彼はすぐに何が起こったのかを理解し、思わず苦笑いを浮かべた。

  愛南が自分と和解しないのは、こういう理由だったのか?

  彼の目が赤くなったが、同時に笑みを浮かべた。

  そして一歩前に進み、右手で栗原愛南の手を握り、彼女の手を自分の左手に導いた。

  栗原愛南は眉をひそめ、この男は本当に厚かましいと思った!

  離婚すると言ったばかりなのに、まだ誘惑してくるなんて?

  彼女が手を引こうとした瞬間、冷たい何かに触れた。目を凝らして見ると、愕然とした。

  これは自分があの若い配達員に宅配便で送った指輪ではないか?

  その指輪は翡翠で、翠緑色をしており、一目で高価なものだとわかる。どうして森川北翔の手元にあるのだろう?