第357話

弁護士は栗原井池の意図が分からなかった。これまでの健康診断は秘密だったのだが、この言葉を聞いて即座に頷いた。「分かりました。」

検査機関のほとんどは夜間は営業していない。

しかし、金の力は大きい。弁護士は栗原井池の情報を漏らすことなく、小さな検査機関を見つけることができた。

栗原井池はマスクと野球帽を着用し、全身を包み隠すように身支度を整え、弁護士と共に外出し、素早く検査機関に向かった。

検査機関でサンプルを採取し提出したが、検査機関は即座に結果を出すことはできなかった。

夜通し作業をしても、結果が出るのは翌朝になる。彼は弁護士をそこに残し、自分は外に出て、京都の街をドライブした。

一時、どこに行けばいいのか分からなくなった……

家には……両親が紀田杏結にすぐにでも子供を産ませたがっている様子と、紀田杏結の生気のない様子を思い出すと、帰りたくなかった。