園長は学校での立場が常に低かった。
金持ちの二世たちが学校のルールを独占していたため、彼女は飾りに過ぎなかった。
前回、雪音を退学させようとした時、それは行き過ぎだと感じ、雪音のために何度か口添えしたことがあった。
今回も我慢できずに江口奥様と栗原愛南を引き止め、小声で言った。「もうやめましょう。栗原家が新しい理事になったのは、あなたたち二人のためです。栗原由奈さんがこの一件にこだわっているんです。騒ぎ続けても無駄ですから、早く子供たちのために良い学校を探した方がいいですよ。」
そう言って、また溜息をついた。「でも私の知る限り、栗原お嬢様は今回本気です。あなたたちを退学させただけでなく、すでにその情報を界隈に流しています。京都では良い学校は見つからないでしょう。海外に行くのが別の道かもしれません。」
彼女の善意の忠告を、江口康介を退学させた広石先生が聞いてしまった。先生はすぐに冷笑して、「園長先生、随分とお喋りですね。そんなに彼らの味方をするなら、栗原お嬢様に言って、あなたを転勤させてもらいましょうか。彼らを受け入れる学校にでも行かれたら?どうですか?」
園長はその言葉を聞いて、眉をひそめて言った。「私は単にアドバイスをしただけです。広石先生、やり過ぎは良くありませんよ。ここで止めておいた方がいい。どんな理由があっても、子供に怒りをぶつけるべきではありません。二人の子供は無実です。」
「無実?栗原お嬢様の逆鱗に触れた親を持つ子供に、無実もないでしょう!」
園長はもう聞いていられない様子で言った。「もういい加減にしてください。それに、正式な手続きから言えば、栗原由奈さんはまだ理事ではありません。今は生徒を退学させる権限はないはずです。」
広石先生は腕を組んで、まるで悪役のように傲慢な態度で言った。「見てください。栗原家の任命状が来ましたよ。栗原お嬢様はもうすぐ理事になります。」
彼女はそう言って、頷いた。
皆が彼女の視線の先を見ると、栗原叔父さんの秘書が目に入り、一同は呆然とした。
園長は苦笑いして、江口奥様と栗原愛南を見た。