第389章

栗原刚弘は全力で攻撃すると言ったものの、実際には力を抑えていた。愛南に致命傷を負わせてしまうことを恐れていたのだ。

彼らの一撃が当たれば、内臓を損傷させる可能性があったからだ。

しかし、それでも愛南のような小柄な体格を吹き飛ばし、激しく転倒させ、血を吐かせるには十分だったはずだ……

栗原刚弘は良いイメージを描いていたが、次の瞬間、愛南が素手で彼の拳を受け止めようとしているのを目にした!

栗原刚弘は彼女の無謀な様子に驚愕し、拳の風圧と力を引き戻そうとした。

あの細い手首で自分の拳を受け止めようとすれば、骨が砕け、腕が折れてしまうに違いない!

愛南に教訓を与えたいだけで、殺すつもりなんてなかったのに!

しかし、もう拳を引くには遅すぎた!

栗原刚弘が驚きで固まっている間に、拳は既に彼女の掌に当たり、同時に蹴りも彼女の腹部に向かっていた。