栗原刚弘は即座に答えた。「もちろん知ってるよ!!」
「知ってるの?」
「うん!」
栗原刚弘は栗原井池を見つめながら言った。「今日、三叔父さんが全部話してくれたよ!」
栗原井池は意味深げに言った。「知ってるなら、三叔父さんが彼女をどれだけ甘やかしているか分かるはずだ。それに、あの男はヒモじゃない。あれは...」
ここまで話して、森川北翔が身分を隠したがっているなら、多くの人に知られたくないはずだと思い直し、言い方を変えた。「とにかく余計な詮索はするな。三叔父さんは分かってるんだから!」
「えっ?!」
栗原刚弘は自分の価値観が崩れるのを感じた。
三叔父さんは彼女が外でヒモを養っているのを知っているの?それでも彼女と一緒にいたいの?
栗原刚弘は目を見開いた。
三叔父さんってそんなに寛容だったの?全然気付かなかった。まさか三叔父さんが恋愛脳だったなんて?!こんなことまで許せるの?
「そんなはずない!」
栗原刚弘は反論した。
栗原井池は眉をひそめて彼を見た。「なんでそんなに大げさな反応するんだ?愛南は離婚歴があるけど、パートナーが必要なのは当然だろう!」
「三叔父さんが一緒にいればいいじゃないか?!」栗原刚弘は反論した。
栗原井池はため息をついた。「三叔父さんは年上なんだ。先に逝ってしまったらどうする?その時誰が彼女の側にいるんだ?それに、それは彼らの自由なんだ。余計な口出しはするな。」
栗原刚弘:????
彼は自分の頭が追いつかないのを感じた!
いつから我が家にこんな恋愛の達人がいたんだ?!
でも...
栗原刚弘は栗原井池を横目で見た。その目には何かが閃いた。
栗原井池の報告書を偶然見てしまって、兄が無精子症だと知った。でもそうだとしたら、兄嫁はどうやって妊娠したんだ?
だから...なるほど、新婚初夜に兄が家にいなかったのも、兄嫁との雰囲気がおかしかったのも、つまり兄は緑の草原を頭上に抱えていたということか。
それでも兄は兄嫁を家に迎え入れ、昨夜もあんなことを...
これもまた一人の恋愛の達人だ。
栗原刚弘は思わず自分の額を叩いた。「栗原家はなんでこんなに恋愛脳ばかりなんだ?」
栗原井池は彼を見た。「何て言った?」
「いや、なんでもない...」