第400章

栗原愛南は驚いた。

表情がより一層厳しくなり、少しも軽視する様子もなく、全身の力を振り絞って藤原彰の拳に立ち向かった!

木村雅はその光景を見て、思わず驚いて叫んだ。「避けろ!藤原彰の怪力は全て拳に込められているんだ、正面から受けるなんて無理だ!」

その言葉に栗原愛南は慌てた。

正面から受けてはいけないのか?

師匠から教わった時は、攻撃こそ最大の防御だと...

でも既に拳は出してしまった。今から引いて避けることもできるが、その必要はないだろう...

栗原愛南はそう考えながら、全身の力を込めて一掌を突き出した!

「バン!」

拳が栗原愛南の掌に直撃した...

木村雅は思わず目を閉じた。愛南の腕は脱臼し、体が吹き飛ばされる光景が目に浮かんだ!

しかし、予想していた悲鳴は聞こえてこなかった...

木村雅がゆっくりと目を開けると、栗原愛南も少し呆然として藤原彰の拳を見つめ、そして不思議そうな目で彼を見ていた。

そして、さらに掌を押し出した!

藤原彰は即座に二歩後退したが、栗原愛南は微動だにしなかった!

栗原愛南:?

観客たちも呆然としていたが、すぐに木村旭が叫び始めた。「藤原彰、何をしている?今更女に情けをかけるのか?さっさと上がって、この生意気な女に教訓を与えろ!」

栗原愛南は悟った。

この藤原彰はそれほど悪い人間ではないのか?

木村旭のやり方に我慢できず、わざと手加減しているのか?

栗原愛南はそう考えながら、藤原彰を見る目が優しくなった。そうであれば、全力を出す必要はない...

彼女がそう考えていると、藤原彰は再び力を込めて突進してきた。

その凶暴な様子を見て、なかなか上手な演技だと思った!

栗原愛南は再び彼の拳を掴んだ。大した力も使わなかった!やはり木村旭に見せるためのパフォーマンスだ!

彼女は即座に藤原彰に優しい笑顔を向け、彼を押しのけながら言った。「ご配慮ありがとうございます。でも、この試合は私が必ず勝たなければならないんです。理由があるんです。もう手加減する必要はありませんよ!」

藤原彰:??

彼の心の中では今、千頭の馬が駆け抜けていった!

これは何なんだ?

誰が手加減なんてしているんだ!