第399章

山田家の外。

車の中にいた森川北翔は、そのLINEを見て眉を上げた。

すでに京都に戻っていた紀田亮は、後部座席で彼を見ながら、このメッセージを見て即座に尋ねた。「社長、栗原お嬢様のことが心配ではないのですか?」

森川北翔は携帯を横に投げ捨てた。「彼女は自分の実力を少し勘違いしているようだな」

紀田亮:?

紀田亮は思わず口を開いた。「栗原お嬢様が強いところなんて見たことないですよ。海浜市にいた時も、何度かボディーガードに押さえつけられていましたよね!」

森川北翔は思わず彼を横目で見た。「押さえつけられたのは、おばあ様のせいだ」

紀田亮はしばらく考えてから、やっと理解して頷いた。「そうですね、おばあ様のせいでした!そういえば、おばあ様も今回京都に来られていて、社長がいつ栗原お嬢様を連れて帰るのか待っておられますよ!」

森川北翔は山田家の方をちらりと見て、軽くため息をついた。「おばあ様には、まだ帰らないと伝えてくれ」

愛南の身分が明らかにならない限り、栗原愛南を堂々とおばあ様に会わせることはできない……

……

山田家の中。

栗原愛南はメッセージを送った後、森川北翔から返信がないことに少し疑問を感じた。

今日は携帯の電波が入らないのかな?

考えている間に、木村旭が一歩前に出て、冷たい目で彼女を見つめた。「今誰を呼んでも無駄だ。たとえ栗原刚弘がここにいても、抽選の結果には従わなければならない!愛南、今すぐ土下座して謝れば、まだ見逃してやる。藤原彰に手加減するように言ってやろう!」

栗原愛南:「……」

彼女の表情が真剣になった。

土下座なんて、絶対にできない。

今できることは、全力を尽くして藤原彰を倒すことだけ!

栗原愛南は深く息を吸い込み、厳かに言った。「よし、始めましょう!」

彼女は武闘場の下に歩み寄った。

武道大会では武闘場が設置され、抽選番号順に上がって試合を行う。

栗原愛南は15番目だった。

前の人たちは試合場で青あざだらけになって、負けた人は毎回全身傷だらけで下りてきて、それを見た栗原愛南は思わず戦々恐々とした。

彼女は鉄欠乏性貧血を患っているのに、もし誤って傷つけられたら……

森川北翔のやつ、何をしているんだろう?メッセージにも返信しないなんて。