第505話

森川おばあ様はその言葉を言い終えると、一旦言葉を切って栗原愛南を見つめた。

栗原愛南は頷いた。

確かに神秘的だ。

もう彼らでさえ見つけられないほど神秘的で、まるで地球上にいないかのようだった。

彼女は静かに森川おばあ様の言葉を待っていると、おばあ様が口を開いた。「実は私は南條家についてあまり知らないの。私が若かった頃は海浜市にいたけれど、京都にある南條奥様のことは聞いていたわ。とても優しくて上品で、教養のある方だったそうよ。年齢は私よりも少し若かったかしら。」

森川おばあ様より少し若い南條奥様?

年齢を計算して、井上斉子の父が話していた長老のことを考えると、この南條奥様は自分の祖母のことを指しているのだろうか?

栗原愛南は引き続き真剣に耳を傾けた。

森川おばあ様は続けた。「あの頃、南條奥様の評判は海浜市まで届いていたの。私は興味を持って、多くの家の娘たちと一緒に京都まで見に行ったわ。そうしたら、南條奥様は噂通りの博学多才で、まるで皇族の姫様のようだったわ……ご存知の通り、日本は特殊で、これらの名門は一見すごそうに見えるけど、実は新興勢力なの。あの頃、森川家も始まったばかりで、私たち世代は多かれ少なかれ成金っぽさがあったわ。でも南條奥様は違った、彼女はまるで…」

森川おばあ様はここで言葉を切り、どう表現すればいいのか分からないようだった。

彼女は突然口を開いた。「魏晋時代の風流な文化について聞いたことがあるでしょう?」

栗原愛南と森川北翔は即座に頷いた。

森川おばあ様は微笑んで言った。「日本の歴史上の文壇と気質について言えば、魏晋時代の名門貴族の若殿や姫様たちは生まれながらに高貴な気質を持っていたわ。それは言葉では表現できない雰囲気なの。南條奥様から受けた印象はまさにそんな感じだったわ。優雅で高貴で、彼女の前でお金の話をするのは俗っぽく感じられたわ。私は今まで他の誰にも、彼女の面影を見たことがないわ。」

栗原愛南は呆然として、森川おばあ様が描写する祖母がどんな人物だったのか想像できなかった。

しかし井上斉子の父があの長老の気質を忘れられないのは、きっと本当に独特な魅力があったからなのだろう。

栗原愛南はそう考えながら、再び尋ねた。「彼女はどこから来たのですか?」