第579話

家政婦はこの状況を見て唖然とした。

彼女は愕然として八木珊夏を見つめ、声を潜めて言った。「八木さん、もう離してあげないと、本当に命に関わりますよ!」

八木珊夏の目に殺意が閃いた。「死んでも構わないわ。どうせ彼女は既に罪を認めたのだから!」

家政婦はその言葉に一瞬戸惑った。「彼女はいつ……」

「さっきよ。聞こえなかったの?」八木珊夏は家政婦を見て、意味ありげに笑みを浮かべた。「あなたも私も、ここで彼女が罪を認めるのを聞いたわ。私たちは驚きのあまり彼女から目を離してしまい、その隙に自殺を図ったってことよ!」

家政婦はその言葉を聞いて呆然とした。

彼女が八木珊夏について来たのは、普段から橋本南が気に入らなかったからだ。なぜ執事も若旦那様も彼女だけを特別扱いするのか。自分たち家政婦は、なぜ特別な扱いを受けられないのか。