第578話

橋本南は一晩中眠れなかった。

外は風が強く、窓を打つたびに、彼女は驚いて目を覚ました。

彼女は怖かった。不安で、恐ろしかった。

栗原叔父さんが目の前で倒れたのだ。彼女は今まで人の生死にこれほど近づいたことがなかった。

もし栗原叔父さんが解毒できずに死んでしまったら...彼女は殺人犯の容疑を晴らすことができるのだろうか?

栗原家が彼女を監禁するのは当然だ。自分の立場に置き換えても、不思議なことばかりだった。

どうして栗原家の三男が昨日コーヒーをこぼしたのか?

どうして彼女がコーヒーの残りを処分してしまったのか?

もし処分していなければ、コーヒーの残りから毒薬の残留を調べることができたはずだ。毒薬の配合まで分析できたかもしれない。

だから、彼女が容疑者でなければ、誰が犯人なのか?