栗原愛南の目が少し輝いた。
彼女は胸の高鳴りを抑え、真剣な眼差しで南條真美を見つめ、その答えを待った。
南條真美は微笑んで、突然自分の胸を指差した。「ここよ。」
栗原愛南:?
自分が騙されたことに気づいた彼女は、すぐに怒りの目で相手を見た。「南條真美、約束したでしょう。負けたんだから、本当のことを話して!」
「誰があなたと約束したの?」南條真美は笑った。「それに、誰が負けたって?」
その言葉が口から出た瞬間、尋問室のドアがノックされ、すぐに川内美玲の声が聞こえた。「愛南、開けて。」
栗原愛南はすぐに立ち上がり、ドアの方へ歩いた。
ドアを開けると、川内美玲が難しい表情を浮かべているのが見えた。彼女は栗原愛南を見つめて直接切り出した。「南條真美の弁護士が来たわ。保釈の手続きをしたの。」
栗原愛南は眉をひそめた。「こんな状況で保釈できるの?証拠は揃ってるはずでしょう?」
川内美玲は深く息を吸い、弁護士が提出した証明書類を取り出した。
特務機関が南條真美を逮捕した時、八木珊夏と単線で連絡を取り合っていた看護師だと判断していた。八木珊夏は彼らの通話時間と記録を全て録音していた。
そしてその時間帯に、南條真美が同時に電話をしていたことが確認され、八木珊夏が直接、狐は南條真美だと特定したため、彼らは決定的な証拠を掴んだと思って逮捕に踏み切ったのだ。
しかし今、相手の弁護士は八木珊夏との通話時に、南條真美が通話していなかったことを証明する資料を提出してきた。
例えば以前の数回、八木珊夏が狐と通話していた時、南條真美はショッピングモールで買い物をしていて、モールの監視カメラ映像がそれを証明している。狐が話していた瞬間、南條真美は誰とも話をしていなかった。
これらは全て……
南條真美は落ち着いて笑いながら立ち上がり、栗原愛南を見た。「愛南、私は殺人鬼の狐じゃないって言ったでしょう。あなたたち、本当に私を冤罪に陥れたわね。」
彼女は両手を広げ、どうでもいいような態度を見せた。
それを見た栗原愛南は拳を握りしめた。「あなたじゃないなら誰なの?」
「さあ、誰にもわからないでしょうね?」
南條真美は笑った。「私かもしれないし、彼女かもしれない。あるいはあなたかもしれないわ?私にはアリバイがあるの。だから、もう行かせてもらえる?」