第620章

その言葉に、川内亮文の周りの人々が怒りを露わにした。

栗原愛南は最初、藤原部長親子が狐の手下ではないかと疑っていたが、すでにその疑いは晴れていた。

特務機関が次期継承者としてそのような人物を選ぶはずがないからだ。

彼らを選ぶ際には、必ず先祖代々まで徹底的な調査が行われており、全く問題のない人物だったはずだ。

実際、藤原部長の父は任務遂行中に殉職している。

このような家系に、立場の問題など存在するはずがない。

昨日、川内亮文が語ったところによると、藤原部長の父が亡くなった後、藤原部長は川内お爺様が直接育て、特務機関を任せる決意をしていたという。

だからこそ川内亮文が特務機関で働いていないのに、藤原部長が副総裁になったのだ。

ただ、ここ数年で何があったのか、藤原部長と川内お爺様の間の溝が深まる一方だった……