第628話

ボクシングチャンプが即座に飛びかかってきた。

栗原刚弘は身のこなしが軽やかで、引いたり引き寄せたりを繰り返し、ボクシングチャンプを息を切らせるまで追い込んだが、自身も楽な状況ではなかった。

ボクシングチャンプの筋肉は余りにも硬く、栗原刚弘が隙を見つけて一発パンチを入れても、まるでボクシングチャンプをくすぐっただけのようで、全く効果がなかった。

彼に勝つには、身のこなしで相手を翻弄するか、それとも相手以上の力を持つしかない!

栗原刚弘は戦えば戦うほど興奮し、藤原夏菜子が出場しなくても勝てるかもしれないと思い始めた。

そのとき、ボクシングチャンプの隙を見つけ、即座に飛びかかり、ボクシングチャンプの肩をつかんだ。武闘場の外に投げ出そうとしているようだった。

場外に出れば、それは負けを意味する!