第765章

鈴木万由香は思わず一歩後ずさりし、自分のバッグを抱きしめた。

そのバッグはクロコダイルレザーのエルメスで、価値は百万円だった。

高橋修は一歩前に出て、手を伸ばして奪おうとした!

鈴木万由香は即座に叫んだ。「これは私のものよ!」

高橋修は一瞬固まった。

小島早絵は笑って言った。「あなたのもの?今日の飲み逃げにあなたも加担したでしょう。この費用が払えないなら、今日は誰も帰れないわよ!」

その言葉を聞いて、鈴木万由香はようやく手を放し、高橋修がバッグをマネージャーに渡すのを許した。

マネージャーは「このバッグは減価償却で、百万円で計算しましょう。まだ百数十万円足りませんね!」

高橋修は再び鈴木万由香の頭に目を向けた。そこには去年の誕生日に、高橋修が小島早絵に買わせたブランドのダイヤモンドヘアピンがあった……

笑い話のようだ。

本当に価値のあるものは数少なく、だから鈴木万由香はいつも身につけていた。

今回は小島早絵が何か言う前に、高橋修がすぐに前に出て、一気に引き抜いた!

鈴木万由香の髪は乱れたが、高橋修は彼女を許さず、ヘアピンを引き抜いた後、手首のブレスレット、指輪……さらには五千円のシャネルのイヤリングまで外した。

マネージャーは盆の上に置かれた贅沢品を見ながら言った。「このイヤリングは最大で二千円ですね、使用感がありますから。このヘアピンは七万円、ブレスレットは中古市場で五万円程度です……」

鈴木万由香の身につけていたアクセサリーは一つずつ剥ぎ取られ、彼女は惨めな姿になった。

全て剥ぎ取られた後、マネージャーが言った。「現時点で、あなたたちはまだ五十八万円の借金があります。」

高橋修は「もう何もありません。少し猶予をいただけませんか?」

マネージャーは小島早絵の方を見た。

小島早絵は冷笑して「鈴木万由香の銀行口座には、まだお金があるはずでしょう?」

高橋修はすぐに鈴木万由香を見た。

鈴木万由香はポケットを押さえた。

この仕草に、高橋修は救いを見出したかのようだった。

彼はこのバーによく来ていて、このバーの勢力をよく知っていた。ここのボディガードは特別に訓練されており、特に先日、酔っ払って支払いを拒否した客が強制的に外に運び出されたことがあった。

彼は様子を見に行き、その人の指が切り落とされるのを目撃した!