ExcaliburQのアンバサダーを難なく獲得できたことに、天野奈々は心の底から嬉しく感じた。スタンソンに話したことは、アンバサダーを獲得するためではなく、彼女は本当にExcaliburQの発展の道のりが好きだったからだ。時には、アンバサダー活動も縁を大切にしなければならない……
天野奈々は携帯を取り出し、墨野宙に電話をかけたいと思ったが、イタリアと東京には7時間の時差があり、今頃、墨野宙はきっと休んでいるはずだ。
天野奈々は少し考えて、墨野宙にただ一言メッセージを送った:「アンバサダーを獲得したわ。」
天野奈々は墨野宙が返事をするとは思っていなかったが、墨野宙は直接電話をかけてきた。
天野奈々は嬉しく思ったが、口に出した言葉には少し責めるような調子が混じっていた:「私があなたの側にいないと、深夜まで忙しくて休まないの?」
「君が必ず成功すると分かっていたから、ずっと君からの電話を待っていたんだ。」墨野宙はベッドに起き上がり、ヘッドボードに寄りかかって答えた。
「本当に仕事をしていなかったの?」
墨野宙は仕方なく、彼女とビデオ通話をすることにした:「これで安心した?」
「宙……このアンバサダーを獲得できて、私とても嬉しいわ。」
「分かっているよ、君がきっと喜ぶだろうと。」墨野宙は含みのある言い方をした。彼は天野奈々のことをよく理解していたので、彼女がきっとExcaliburQというブランドを好きになると知っていた。だからこそ、彼女のためにこのアンバサダーを考え、遠くからスタンソンに電話をかけて交渉したのだ。
事実が証明したように、彼のすべての努力は無駄ではなかった。
「体の調子はよくなった?」
「もう大丈夫よ。あなたがいるから、病気になんてなれないわ。」天野奈々は笑顔を見せた。
この時、墨野宙は彼女の側にいて、彼女の髪を撫で、励ましてあげたいと強く思った。しかし、弘進との協力のため、しばらくは彼女の元へ飛んでいくことができそうにない。
二人が甘い会話を交わしている間、中村さんと山本修治も気を利かせて天野奈々の部屋を出た。ただ……天野奈々の影響を受けて、二人はそれぞれ心の中の人のことを考えていた。