第326章 私の椅子に座りたいのか?

曾会長の顔色が変わった……

  「どういう意味だ?」他の株主たちは混乱し、顔を見合わせた。墨野の言葉の意図がさっぱり分からなかった。

  「つまり、両方のファンを煽り立てて乱闘を起こし、高宮美咲に出演拒否を促し、ファンを買収して法廷に持ち込んだのは、曾会長の息子のJ-KINGだということです。彼の目的は、今日ここに座って私に責任を追及している皆さんが、最高の証明ではないですか?」

  「墨野社長、自分の言い訳のために私の息子を中傷する必要はないでしょう?」曾会長は冷たい表情で怒鳴った。

  「わかりました……では、あなたがこの資料を集めた意図を教えてください」墨野は資料を掲げて反問した。「何の目的もないのなら、タレントのために仕事を取ってくるこの行為に、どこが騒ぐほどの価値があるのか、私には理解できません。それとも皆さん、忘れてしまったのですか?自分の下の芸能マネージャーがタレントのために仕事を取るためにどのように動いていたかを」

  取締役たちは顔を見合わせたが、何も言わなかった。

  実際、墨野のしたことはすべて道理にかなっていた。芸能界そのものが資金と背景を重視する場所で、多くのマネージャーがタレントのために、時には汚い手段さえ使うことがある。それこそ手口が多種多様なのだ……

  なぜ曾会長は墨野のことだけを集めたのか?

  しかも、これらの資料は、尾行や特別なルートがなければ、どうやって手に入れたのだろうか?

  こんなやり方は、司馬昭の心じゃないのか?

  「だからといって、私の息子を中傷するのはやめてくれ!」

  「分かりました。それならば、今夜、私は消極的から積極的に変わり、状況を逆転させる方法を提示します。ここにいる皆さんは海輝の人間で、自分の利益のために情報漏洩はしないでしょうね?」墨野は唇を曲げ、自分の今後の計画を取り出した。「これらを見れば、私がなぜ時間を引き延ばしていたのか分かるはずです」

  取締役たちは解決策を受け取り、次々とうなずいた。表情ももはや先ほどの詰問するようなものではなくなっていた。

  ただ曾会長だけが、今ジレンマに陥っていた。

  もしこのことを息子に伝えれば、自分が内通者であることは間違いない。