第361章 天野奈々は今日どこにも行けない

陽光が優しく差し込む朝、天野家。

豪華な応接室の階段の上で、天野会長は黒いスーツを着て杖をつき、真っ直ぐに立ち、下に二列に並ぶ子孫たちを冷たい目で見渡していた。

家の恥が暴かれ、天野茜は罰として土下座させられ、天野拓也と天野夫人は会長の右側に立ち、天野家の兄妹は反対側に立っていた。

天野茜以外にも、次女の天野明日野、そして四女の天野剛も会長に呼び戻された。天野奈々は三女だった。

「今日、私は非常に困難な決断をしようと思う。もう一人の孫娘を、天野家から追放しようと思う」会長は重々しく言った。「何か意見はあるか？」

「お父様...」天野拓也は驚いて小さく叫んだ。

「お前に発言権などない。これは全てお前が引き起こしたことだからだ」会長は天野拓也の言葉を遮った。

「おじいさま、納得できません！」天野茜は体を起こして言った。「天野奈々のために、実の孫娘を追い出すというのですか？」

「天野奈々も私の実の孫娘だ。それに、お前はまだ自分の過ちを理解していないようだな。私怨を晴らすために、天野家が数十年隠してきた家の恥を暴露し、天野家の平穏を乱した。私はお前を許すことはできない」会長は厳しい口調で言った。

「彼女がどこであなたの実の孫娘ですか？どこかの私生児かもしれないのに...」

パシッ...

会長は滅多に人を叩くことはなかったが、今回は本当に手を上げた。

年老いた手の平は、まだ力強く、天野茜の顔を横に払い飛ばした。「私、天野剛は今日ここではっきりと言っておく。天野茜、今のお前のような性格と品行では、天野家の全てを手に入れることなど夢のまた夢だ」

天野茜は目を見開き、心の中には数え切れないほどの不服があったが、そのとき執事が応接室に入ってきて、会長に向かって言った。「会長、三女様がお戻りになりました」

「彼女にどんな面目があって戻ってくるというの？」天野茜は声を張り上げて叫んだ。

「入れなさい！」会長は杖を突きながら言った。

九年...天野奈々が天野家に足を踏み入れた回数は、指で数えられるほどしかなかった...この屋根の下での記憶は、常に頭を低くしていたものだったが、今回は、もう二度と頭を下げることはない。

彼女は茶色のコートを着て、長い髪を下ろしたまま冷たい目つきで天野家の応接室に入ってきた。

全員が彼女の変化を感じ取った...