第362章 私は天野奈々の合法的な夫

「撮影なんてどうでもいい。今日は天野家から一歩も出してやらないぞ!」天野会長は助手に合図を送り、天野家の大門を閉めさせた。「奈々、お前もそろそろ心を入れ替えるべきだ。外のろくでもない関係は、断つべきときに断たねばならん」

天野奈々は大門が閉まるのを目の当たりにしたが、焦る様子もなく、ただ天野会長に向かって言った。「おじいさま、私を閉じ込めることはできませんよ」

天野会長は奈々を見つめた。実は彼も心の中では分かっていた。奈々はもはや昔のような従順な子供ではなく、その意志は以前にも増して強固になっていた。しかし、表向きにはこう言った。「できる限り、閉じ込めておく」

天野茜はまだ地面に跪いて泣いていたが、口元には冷笑を浮かべていた。天野会長の目的が奈々を家に戻すことだと分かると、すぐに立ち上がり、天野会長に不気味な笑みを向けた。「おじいさま、奈々を家に戻すつもりなんですね?」

「ここは元々彼女の家だ!」

「私生児風情が、何の資格があるというの?」天野茜は言い終わるや否や、テーブルに駆け寄り、フルーツバスケットから果物ナイフを取り出し、自分の手首に当てた。「もし私が、彼女か私のどちらかを選べと言ったら?」

「茜……」会長は即座に慌てふためき、杖がよろめきそうになった。「何をする気だ!」

「おじいさま、私も本気です。この家には、彼女か私、どちらか一人しかいられません!」言い終わると、天野茜は唇を噛みしめ、手首に血の跡が浮かび上がった……

「馬鹿なことをするな」会長はすぐに駆け寄り、茜の手首を掴んで、助手に言った。「早く救急箱を持ってこい」

天野茜は会長が自分を一番可愛がっているのを確認すると、すぐに会長の胸に飛び込んで泣き出した。「おじいさま、今のままではいけないのですか?なぜ部外者を家に戻さなければならないのです?天野奈々は9年も外で暮らしていたのですから、天野家を自分の家だと思っていないのは明らかです。なぜお互いを苦しめなければならないのですか?」

「話し合えばいいことを、なぜそんな馬鹿なことを」会長は激怒で心臓発作を起こしそうになった。

「おじいさま、約束してください。奈々を戻さないと約束してください」

茜がまた極端な行動に出そうなのを見て、天野会長は仕方なく答えた。「分かった、約束しよう、約束する」