「さっきのは、ただあなたを試しただけよ。あなたが本当のことを話してくれたから、私も取引に応じるわ」
椛木千鶴はそれを見て、すぐに笑って言った。「若い子、なかなかやるじゃない」
「でも、結局私は削除しました」若手芸能人が携帯を置くと、椛木千鶴はすぐに全身の力を抜いた……
もちろん、彼女の見えないところで、若手芸能人が身につけている小型カメラは、椛木千鶴の先ほどの言葉や、微細な表情まですべてをしっかりと録画していた。
「正直に言うわ。私は女優が嫌い。特に賢い女優が。まして私の息子の嫁となるなんて」
「あなたの孫を身ごもっているのに、それでもですか?」
この質問を聞いて、椛木千鶴は思わず笑い出した。「私の息子は芸能界の大物よ。子供を産んでくれる人なんて…いくらでもいるわ」
「あなた、本当に気持ち悪い人ですね」相手は遠慮なく椛木千鶴を評した。「確かに私は間違ったことをしました。でも、自業自得だと分かっています。でもあなたが妊婦をそんな風に扱うなんて、本当に恥知らずです」
「もういい、無駄話は十分。私の欲しい物は?」
相手は椛木千鶴を深く見つめ、そして携帯の写真を椛木千鶴に送った。「これをあげます。お金はいりません。こんな汚い金、使う気になれません。ご機嫌よう」
言い終わると、相手はすぐに立ち去った。椛木千鶴は念願の写真を手に入れると、すぐに墨野のお父さんに送信した。「これがあなたの素晴らしい嫁よ」
椛木千鶴は知るよしもなかったが、彼女の今日の午後の若手芸能人との一挙手一投足が、東京最大の広告スクリーンに映し出されていた。
もちろん、映像の中には始終椛木千鶴だけが映っており、若手芸能人の姿は見えなかった。これにより若手芸能人はメディアの攻撃から守られた。
誰もが椛木千鶴の本性を知り、天野奈々がこの間受けた苦労も分かった。ただ彼女だけは……
天野奈々の不倫写真を手に入れたことに、まだ有頂天になっていた!
「マジかよ、天野奈々を見下してるからって、妊婦をこんな風に扱うなんて、本当に恥知らずだ」ネット上で議論が白熱した。
「この善意の人が誰なのか分からないけど、この人がいなかったら、天野奈々はまだ冤罪を背負わされていたかもしれない。本当に可哀想」
「椛木千鶴は私が見た中で最も毒婦な姑だわ」