最近、柴崎小百合の仕事は思わしくなく、以前のトークショーではほとんど映像に映らないか、番組に出ても端に追いやられる状態が続いていた。
一度や二度なら、柴崎小百合も気にしなかったかもしれないが、最近これほど多くのチャンスを逃してしまい、誰かが裏で操っているのではないかと感じていた。
「こんな夜遅くまで、なぜここに座っているの?」丹野茜は柴崎小百合がベランダでタバコを吸っているのを見て、急いで灰皿を持ってきた。
「最近の私の仕事、うまくいってないと思わない?」
「大きな問題は見当たらないけど。」丹野茜は言った。番組は相変わらず放送され、仕事も詰まっているが、ただ効果が思わしくないだけだった。
「海輝が意図的に私を抑え込んでいるような気がする。」柴崎小百合は遠くを見つめながら言った。
「まさか?でも海輝にそんな理由はないはずよ。」
「忘れないで、海輝には墨野宙だけでなく、天野奈々もいるのよ。天野奈々がここまで来るのは簡単ではなかったはず。でも今、私が出てきて彼女の光を奪おうとしているから、恨みを抱いているかもしれない。」柴崎小百合は、自分の悪質な行為が天野奈々の前で暴露されたとは全く思わず、天野奈々も自分を競争相手として見ていると思い込んでいた!
しかも恐ろしい競争相手として。
「じゃあ、どうすればいいの?」丹野茜は柴崎小百合の言葉にもっともな点があると感じた。
「海輝がそこまでするなら、私も情け容赦なくやるだけよ。」柴崎小百合はタバコの吸い殻を押しつぶし、冷たい目つきで言った。確かに彼女には才能があったが、残念ながら...自分を買いかぶりすぎていた。
そう、海輝は確かに彼女を抑え込んでいた。しかし、それは彼女が誇りにしている能力のためではなかった。
翌朝、芸能界には海輝が柴崎小百合を抑圧しているというニュースが広まった。天野奈々がここまで醜い手段を取るなら、事を表沙汰にして処理することも辞さない。
山本修治は知らせを受けると、すぐに社長室のドアをノックして入り、天野奈々の向かいに座った。「外では噂が広まっています。」