第719章 丹野茜VS柴崎小百合

丹野茜は柴崎小百合が必ずバックステージに来ることを知っていた。そしてAOBグループの他のメンバーたちも、バックステージに降りた後すぐにメイクを落とさず、丹野茜と同じメイクと髪型のままでいた。これはグループの団結力を示すためで、彼女たちは決して丹野茜一人に柴崎小百合と対峙させることはなかった。

いや……

むしろ、彼女たちは柴崎小百合を叩きのめす機会を長い間待っていたのだ。

すぐに、楽屋のドアの外から騒がしい声が聞こえてきた。明らかに、コンサートのスタッフが柴崎小百合をドアの外で止めていた。

楽屋の中で数人が目を合わせ、AOBのリーダーが最も恐れを知らず、化粧台から立ち上がり、ドアに向かいながら皆に言った：「私がドアを開けます！」

丹野茜は化粧台の前に座ったまま動かなかった。ドアが開くと、柴崎小百合は相手の顔も確認せずに、リーダーに向かって平手打ちを食らわせようとした。

おそらく、ドアを開けた人が丹野茜だと思い込んでいたのだ！

リーダーはちっと舌打ちし、柴崎小百合の手首を掴んだ：「さすがスーパースターの柴崎さんは違いますね。人も態度も大物です。」

「みんな出て行って、私は丹野茜と話がある。」

数人は柴崎小百合の命令口調を聞いて、思わず嘲笑した：「誰に命令してるの？柴崎お嬢さん？あなたには役人のおじいさんがいることは知ってるけど、残念ながら、あなたの報復を恐れる人ばかりじゃないわ！」

「あなたたち……」

「リーダー、みんな少し待っていてください。」丹野茜は、他のメンバーがいる限り、柴崎小百合は自分の前で演技を続けることを知っていた。実際、彼女もうんざりしていた。だから……早く解決して、柴崎小百合の気持ち悪い顔を見なくて済むようにしたかった。

リーダーたちは互いに顔を見合わせ、数秒の沈黙の後、最終的にうなずいた：「私たちはドアの外で待ってるわ。もし彼女が暴力を振るったら、すぐに大声で呼んで。」

「わかってます。」丹野茜は感謝するようにリーダーを見て、心配する必要がないことを示した。

すぐに、楽屋には二人だけが残された。丹野茜はまだ動かなかったが、柴崎小百合は一、二歩内側に入り、非常に皮肉な口調で言った：「本当に予想外だわ。韓国に一度行っただけで、私なんかとは付き合えないほど偉くなったのね！」