第718章 まさか彼女にこんな裏切られるなんて!

「そんな意地悪な言い方はやめなさい」金井和夫は無奈く彼女に注意した。

「私のことを今日初めて知ったの?私がこういう人間だってよく知ってるでしょう」柴崎小百合は軽く答えた。

そうだ、と金井和夫は心の中で答えた。最初から、彼は柴崎小百合がどんな人間か知っていた。それでも彼女に惹かれずにはいられなかった。

……

実は、柴崎小百合が丹野茜を無理強いしなかったのは、一つには丹野茜が長い間両親と過ごしていなかったからで、もう一つは、丹野茜が以前帰国した時の輝かしい姿を思い出すたびに、心の中で非常に不快な思いをしたからだった。

自分の付き人だった人間が、突然自分より輝かしく、より注目を集めるようになることに、耐えられなかったのだ。

だから、表面上は二人の関係は何も変わっていないように見えたが、本当に変わっていないのかどうか、二人の心の中では、よく分かっていた。