洪水はますます高くなり、そばの崖は滑石のせいで真ん中から割れたように見え、皆の足が震えた。
「だめだ、もっと上に行かないと」田村青流が提案した。洪水の破壊力が強すぎて、今立っている場所がいつまで持つか誰にもわからなかったからだ。
「でも田村さん、前に道がありません」
「なら重要な荷物を捨てて、登ろう」明らかにこの山の面は比較的安全で、岩が安定していて、木々も生い茂っていた。
夏目栞の提案を聞いて、全員が即座に判断し、普段大切にしていた物を全てその場に捨てた。この時、命より大切なものなどなかったからだ。
その後、夏目栞は雑草を集めて丈夫な草縄を作り、女の子たちを繋いだ。そうすれば、お互いに助け合えると考えたからだ。
「栞、ありがとう、本当にありがとう」
「栞...私たち、今まで酷いことばかりしてごめんなさい」