加藤静流は、あまり楽観的ではない気持ちで基地に入った。結局のところ、彼女は木下准のことをよく知らないと感じていた。日常生活での木下准はどんな様子で、仕事中の木下准はどんな様子なのか、周りにどんな友人がいるのか、彼女は何も知らないと感じていた。
彼女は天野奈々のように賭けに出ることはできなかった。天野奈々は良いことも悪いことも、一度選んだら結果を受け入れる覚悟があり、何も恐れなかった。
しかし、彼女は違った。彼女は怖かった。物事がはっきりしていないとき、または危険すぎると感じたとき、すぐに尻込みしてしまう。
彼女は努力することを嫌がっているわけではない。ただ、恐れることが本能のようなものだった。
すぐに二人は訓練場に到着したが、目に入ってきたのは訓練中の空軍戦士たちではなく、木下准と数人の戦友だけだった。その中には、彼のいわゆる義理の姉である神代咲もいた。
実際、神代咲も驚いていた。木下准が加藤静流をこの場所に連れてきて、最も親しい戦友たちに会わせるとは思っていなかったからだ。
もしかして、彼は本気なのだろうか?
「静流……」木下准は自然に加藤静流の名前を呼び、近づいてきた静流を自分の腕に抱き寄せながら、皆に向かって言った。「前回、静流が気を失ってしまったので、正式に紹介できなかったんだ。彼女は私の彼女の加藤静流だ。すぐに正式な関係になる予定だ。」
これは木下准が初めて皆の前で彼女の存在を認めた瞬間だった。基地に数年いた神代咲でさえ、このような待遇を受けたことがなかった。木下准が本気であることは明らかだった。
数人が加藤静流を見て、そして神代咲を見てから、ようやく木下准に応えた。「お前、早くから彼女がいたのに、一言も言わなかったのか。」
「私たちは最近知り合ったばかりです。」
加藤静流には分かっていた。実際、皆の視線は少し不自然で、おそらく神代咲の存在が原因だった。
その後、神代咲は訓練の用事を口実に立ち去ろうとした。「私はまだ訓練があるので、これで失礼します。」
「待って。」誰も予想していなかったが、加藤静流がこの時、神代咲を引き止めた。
神代咲は、加藤静流が女性同士の駆け引きを男性の前で晒け出すような人ではないと思っていたが、実際、加藤静流はまさにそういう人だった。