第881章 彼女は妖艶な女

国産のSF大作なのに、国内の俳優を選べないことは、ジョナサンにとって残念なことだった。

しかし、現在の芸能界を見渡しても、演技力があり、なおかつイメージに合う俳優は本当に少なく、フランスの女優を選んだのも仕方のないことだった。

すぐに、フランスの女優が東京に到着した。天野奈々とジョナサンは、数々の国際的な賞を受賞したこの映画女王と対面した。

スタイルも容姿も一級品で、さらに外国人女性特有の骨の髄まで染み付いた色気と優雅さを漂わせていた。

この女優の名前は、ケイサー。彼女は魅惑的な存在だった。

外国人俳優が東京で撮影する際には、多くの条件と制限があることを、ジョナサンと天野奈々は覚悟していた。しかし、ケイサーのマネージャーが長いリストを提示した時、ジョナサンは驚いた。撮影のメイクに使用する化粧品にまで専門的な要求があるとは……

天野奈々はついに我慢できなくなり、ジョナサンに向かって言った。「気分が悪くなってきたわ。ここは任せるわね。」

ジョナサンは天野奈々の気持ちを理解し、ケイサーとの話を手短に済ませて追いかけ、尋ねた。「国内の俳優にチャンスを与えず、なぜこんなにお金を無駄にするのかと思っているんだろう?」

天野奈々は数秒黙った後、頷いた。

「でも選択肢がないんだ」ジョナサンは両手を広げた。「この件は私の言う通りにしてほしい。私たちにはケイサーが必要なんだ。」

天野奈々は深いため息をつき、何も言わなかった。

二人は一緒にホテルに戻り、気持ちを切り替えてケイサーのマネージャーとの交渉を続けることにした。

「あなたたちの文化に本当に興味があるわ。特にイケメンには……」ケイサーは流暢な英語で天野奈々とジョナサンに告げた。「良い協力関係になることを願っているわ。」

芸能界は国内外を問わず、環境は似たようなもので、もちろん、俳優の品行もまちまちだった。

ケイサーは仕事に関しては非常にプロフェッショナルだった。プライベートではやや遊び好きな面もあったが、大きな問題はなかった。

それでも、天野奈々は心の中で非常に強い危機感を抱いていた。

しかし、今はとりあえず様子を見るしかなかった。

……