高橋進は彼女に会いたい

箱の中にはもう一通の手紙があり、当時祖母が彼女を拾った時の様子が書かれていた。

祖母は学歴が高くないが、彼女のプライバシーを守るため、誰かに代筆を頼むことはせず、一字一句辞書を引きながら、彼女を拾った時の細かい状況を詳しく描写していた。

おそらく自分がいなくなることを予想していたのか、祖母は当時のすべての情報を残すために全力を尽くしていた。

これらはすべて祖母の心血だった。

琴子は震える手でハンカチを箱に戻し、心を落ち着かせてから、箱を抱えて外に出た。

正午の日差しが眩しく、初秋の空気もまだ蒸し暑かった。

琴子が携帯でナビを検索しようとしたとき、高橋謙一からのメッセージを見た「時間ある?父さんが会いたいって。」

高橋謙一は嬉しそうで、その文章の後ろには絵文字がたくさん並んでいた。