「琴子じゃなくて失望したの?」
心の内を見透かされ、高橋謙一は気にせず笑った。「いや、別に。妹じゃなくても、妹として認めることができないわけじゃないだろう?」
この数日間、池村琴子を守ることが習慣となっていた。
彼は決心していた。もし琴子が仙じゃなかったら、妹として認めようと。
高橋忠一は彼の考えを見抜いていた。「お父さんが許さないよ。姉帰も怒るだろう」
高橋姉帰の話が出て、謙一は意地悪く笑った。「俺が琴子を妹として認めるだけで、お前たちに認めろとは言ってないだろう。そんなことで怒るなら、仙が帰ってきたときの方がもっと怒るんじゃないか」
彼は、この言葉が後に本当に的中することになるとは思わなかった。
話している間に、二人は車で屋敷に入り、ホールに着くと、真ん中に背を向けて座っている高橋進の姿が目に入った。