高橋謙一は池村琴子を見つけられず、電話も通じなかったため、車で戻りました。
帰り道で、ある電話を受けた。
着信を見ると、なんと山本正博からだった。
高橋謙一は眉を上げ、迷わず電話に出た。
「珍しいですね、山本坊ちゃん。まさか僕に電話がくるとは」
長年に渡って、山本正博から連絡が来ることは数えるほどしかなかった。
山本正博は冗談を言い合う気分ではなく、冷たい声で言った。「琴子が危険な目に遭っている」
「何だって?!」
高橋謙一はブレーキを踏み、素早く車を路肩に停めた。
「どういうことだ、彼女はどうしたんだ?」
高橋謙一のこの焦った様子に、山本正博は唇を固く結んだが、今はそんなことを気にしている場合ではなかった。
アシスタントが琴子の行方を突き止めた。やはり高木財源に連れて行かれていた。