「彼女の意思でもあり、私の意思でもある」
琴子の話によると、この3年間、山本正博は彼女に対して全く感情を注いでいなかったという。
琴子が彼の介入を許さなかったからこそ、彼女が独り寂しく過ごした最初の1年で、彼は彼女を連れて行くことができなかった。
結婚中に他の女を連れ込んでいた男なんて、ろくな奴じゃない。
近籐正明は退屈そうに机に寄りかかり、腕を組んで嘲笑うように言った。「山本坊ちゃん、彼女を解放してやれよ」
琴子の輝かしい青春はもう台無しにされた。これ以上間違いを続けてはいけない。
彼女を解放するのか、それとも彼らを解放するのか?
山本正博は指を握りしめ、目の奥に冷酷な光が宿った。
池村琴子は結婚中に他の男と付き合い、さらには離婚を迫りに来るなんて、自分を甘く見すぎているのではないか?