第152章 不倫の常習犯

「私がどうするかは重要ではありません。大切なのは山本坊ちゃんがどうするかです」彼女は美しい目を細め、「山本坊ちゃんに約束していただきたいのです。もう高木朝子を助けないと」

山本正博は黙って彼女と見つめ合い、深い淵のように澄んだ瞳には、解けがたい思いが映っていた。

彼は高木朝子を助けていないと説明したかったが、最後には全て「わかった」という一言になった。

池村琴子の心はようやく落ち着き、気分は特に晴れやかになった。

彼女は山本正博になぜ承諾したのか尋ねず、ただ笑顔で約束した。「必ず賞を取ります」

彼女は山本正博が今日突然態度を変えたのは、そのデザインコンテストのためか、さもなければ鈴木霍霍の件のためだと思った。

山本正博が人に頼むときもこんなに話が通じやすいとは思わなかった。離婚前の生活を思い出させた。あの時も彼はこうだった。淡々と「わかった」と言い、何も問わなかった。