第198章 ゆっくり楽しんで

「全部ですか?」鶴田愛子は驚いて聞き返した。高橋小雨は5人だけ欲しがっていたのに、もう一人が全部欲しいと言うなんて。

以前なら喜んで飛び上がるところだったが、今は不安でいっぱいだった。

全部取られたら、鈴木哲寧にどう説明すればいいのだろう?

鶴田愛子は苦々しく言った。「お嬢さん、さっきも言ったように鈴木坊ちゃんも全部欲しいと言っているんです。わざと私を困らせているんですか。」

「物事には順序があるでしょう。その鈴木哲寧って人は、どんな変な習慣があるの?他人のテーブルから料理を奪うなんて!」安藤静は唇を歪めて笑ったが、その笑みは目には届いていなかった。

鶴田愛子は言葉に詰まった。彼女は気づいた。この女性は自分に対抗しているのではなく、鈴木哲寧に対抗しているのだと。