「お父様、姉は南條夜のことなんて全然好きじゃないわ!」高橋姉帰は目が真っ赤になり、自分の惨めな姿も気にせず、高橋進を睨みつけた。「昨日まで私と南條夜を結婚させる方法を考えると言ってたのに……」
昨日、高橋進は彼女に南條夜との縁談を進めると約束し、高橋家が彼女の最強の後ろ盾になると言った。
まさか一夜明けただけで、すべての約束が水泡に帰すとは。
「それは昨日の話だ」高橋進は苛立ちを隠さず言った。「昨日のお前と今日のお前が同じだと思うのか?」
高橋姉帰は顔を蒼白にし、悲しげに俯いた。
昨日まで彼女は、「W」組織に守られ、大功を立てた高橋姉帰だった。
そして今日、彼女は何も持たない高橋姉帰になった。
彼女は歯を食いしばり、恨めしげに言った。「姉は南條夜のことが好きじゃないのに、南條家で虐められても構わないというの?」