第204章 対立

「正、正広?」

室内で突然声が静寂を破った。

山本正広、山本正博の兄。

かつて死んだはずの人物が、突然現れたのだ!

「お前は火事で死んだはずじゃないのか?なぜ生きているんだ?!」

「当時のニュースの映像では、人は灰になっていたはずだ。生きているはずがない。この男は絶対に山本正広ではない!偽物に違いない!」

室内は議論が飛び交い、皆が驚きで顔色を失っていた。

「この世界には、そっくりな人はいるものだ。それに今は科技が発達している。金さえあれば、整形はおろか、クローンを作ることだってできる。」

誰かがそう言うと、皆の心が落ち着いた。

死者の復活は恐ろしすぎる。「偽物」の方が明らかに信じやすかった。

「お前は山本正広ではない。一体誰なんだ?」近藤社長の感情は次第に落ち着いてきた。