「正、正広?」
室内で突然声が静寂を破った。
山本正広、山本正博の兄。
かつて死んだはずの人物が、突然現れたのだ!
「お前は火事で死んだはずじゃないのか?なぜ生きているんだ?!」
「当時のニュースの映像では、人は灰になっていたはずだ。生きているはずがない。この男は絶対に山本正広ではない!偽物に違いない!」
室内は議論が飛び交い、皆が驚きで顔色を失っていた。
「この世界には、そっくりな人はいるものだ。それに今は科技が発達している。金さえあれば、整形はおろか、クローンを作ることだってできる。」
誰かがそう言うと、皆の心が落ち着いた。
死者の復活は恐ろしすぎる。「偽物」の方が明らかに信じやすかった。
「お前は山本正広ではない。一体誰なんだ?」近藤社長の感情は次第に落ち着いてきた。